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日本庭園の基礎知識
京都旅行に行った際に日本庭園の魅力にとりつかれ、それ以来庭園巡りをしています。 しかしなんとなく綺麗だというだけしか分からず、それではイカンということで独学ながら日本庭園の基礎知識を調べてみました。 調べれば調べるほど奥の深い日本庭園の世界ですが、知れば知るほど庭園巡りが楽しくなってきます。
ここで紹介している内容は、あくまで個人で調べた範囲でまとめたもので、史実などの内容に誤りがあるかもしれません。 その際は、ご一報頂ければ幸いです。 まだまだ内容的にも薄いですが、少しずつ勉強して更新していく予定です。 特に日本庭園初心者に参考になれば幸いです。
1.日本庭園の特徴
日本庭園は西洋庭園と違って、「曲線による造形と左右非対称」なのが大きな特徴です。 それは日本庭園が自然の風景を手本にして造形しているからです。 もともと日本も、大陸から造園文化が入ってきたときは、四角い池泉が造られています。
しかし、次第に曲線中心の池泉になり、その後は直線的な庭園はほとんど見られないようになっていきました。 それは、日本庭園が自然に対する敬いや宗教、思想などを抽象的に表現して作庭するようになり、独自に発展していったためです。 現存している庭園では、長年の月日が経った現代でも、その素晴らしさを感じさせてくれます。
2.日本庭園の歴史
日本庭園も時代ごとに流行りがあり、かなり特徴も異なります。 日本庭園の歴史を知ることは、日本庭園の造園技術の進歩を知るだけではなく、日本の文化を理解する上でも大切なことだと思います。 また時代ごとの大まかな特徴を掴んでおくと庭園巡りがより楽しくなりますよ。
時代 |
年代 |
特徴 |
代表的な庭 |
飛鳥時代 | 6世紀末〜710 |
戦後しばらくの間、飛鳥・奈良時代には日本庭園は存在しないといわれていたが、近年明日香村で飛鳥京跡宴池遺構などが発掘されており、その通説は否定された。まだ当時の庭園はまだ中国や朝鮮の影響を強く受けていることが判明している。 |
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奈良時代 | 710〜794 |
都が奈良に移り平城京が整うにつれて、庭園文化も発展していった。この時代から次第に曲線が中心の造形が増え、全体の様式が和式化された。また中島や州浜など日本庭園の特徴的な造景もこの時代から確認されている。 | 平城京左京三条二坊宮跡庭園(奈良県) |
平安時代 | 794〜 1192 |
貴族文化が栄えた時代で、貴族の邸宅・寝殿造りの庭がさかんに造られるようになった。しかし平安時代中期以降は、末法という時代が到来し、浄土式庭園様式に変化していった。 また平安時代末期には、日本最古の作庭秘伝書といわれる「作庭記」が著され、作庭手法も確立してきた。 |
平等院(京都府) 毛越寺庭園(岩手県) |
鎌倉時代 | 1192〜1333 |
鎌倉時代になると、貴族・武士階級の建築は寝殿造りから書院造りに様変わりしていった。それに伴い庭園も建物に隣接した書院造りに変わっていた。書院式庭園は
寝殿造庭園に比べてやや小さく作りも簡素だが、基本的には浄土式庭園に近い形態 が引き継がれている。 また中国から禅が伝わるようになり、日本庭園も大きく禅の影響を受けた。 |
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室町時代 | 1336〜1573 |
この時代では、禅宗が隆盛を極め、枯山水庭園が発達しした。枯山水自体は既に平安時代からあったものだが、室町時代に禅寺の方丈庭園で発展し、独立した庭園としての地位を確立した。 | 竜安寺(京都府) |
安土桃山時代 | 1573〜1603 |
この時代は、戦国武将や大名が庭園文化をリードし、城郭庭園がさかんに造られた。 その一方で、茶の湯の発展とともに、茶庭(露地)という新たな庭園意匠が出現した。茶庭(露地)は、武士 だけではなく庶民の間にも普及していった。 |
醍醐寺三宝院庭園(京都府) |
江戸時代 | 1603〜1868 |
江戸時代では、将軍や大名などを中心に、城や屋敷を築く際に庭園内を回遊することができる回遊式庭園が造られるようになり、池泉を中心とした大名庭園が各地に作られた。大名庭園はこれまでの日本庭園技術の集大成である。 | 小石川後楽園(東京都) 兼六園(石川県) |
明治時代以降 | 1868〜 |
明治時代になると実業家を中心に、芝生面を広くとった明るい庭が多く作庭されるようになった。 またこの時代から、西洋庭園の新しい造景がもたされ、新しい要素が加わり変化したが、多くは和洋析衷式であったために、不自然さが目立っている。 |
無鄰菴庭園(京都府) 三渓園(神奈川県) |
3.日本庭園の代表的な手法
日本庭園の代表的な手法や特徴などについて、まとめて見ました。 (若干、用語集と化しているような気がしますが。。。。)
名称 |
手法方法 |
浄土庭園 (じょうどていえん ) |
浄土思想の極楽浄土を、池や島、橋、泉、阿弥陀堂などで表現した庭園。。 |
池泉回遊式庭園 (ちせんかいゆうしきていえん ) |
池の端や周囲を歩いてめぐりながら、その景色を色々な角度から楽しむ庭園。 |
池泉周遊式庭園 (ちせんしゅうゆうしきていえん ) |
池の端や周囲を船で周遊しながら楽しむ庭園。 |
池泉鑑賞式庭園 (ちせんかんしょうしきていえん ) |
池を中心とする庭園を書院などから観賞する庭園。 |
浄土式庭園 (じょうどしきていえん ) |
極楽浄土を表現した庭園。平安時代後期に貴族の間で仏教の末法思想の広がりとともに、極楽浄土への憧れからよく作庭された様式。 |
枯山水庭園 (かれさんすいていえん ) |
水を用いずに、石、砂、植栽などで水流を表現する形式の庭園。 |
縮景 (しゅくけい) |
名所など自然の景観を庭園内に表わす手法。 |
借景 (しゃっけい) |
庭園外の山や樹木、竹林などの自然物等を庭園内の風景に背景として取り込む手法。前景の庭園と背景となる借景とを一体化させてダイナミックな景観を形成する。 |
遣水 (やりみず) |
水源から庭園内の池などに注ぐ曲線の水路。遣水は曲線状に流すことで風流を醸し出している。 |
築山 (つきやま) |
庭園内に造られた人工的な山。 |
石組 (いしぐみ ) |
石の配置や組み合わせ。これによって山や島などを表現する技法。 |
三尊石 (さんぞんせき ) |
日本庭園の石組の基本パターン。仏像の三尊仏のように、中央に大きな石を、その左右に小ぶりの石を組む方法。滝や護岸、中島などの石を組む、あらゆる場所で使われる。 |
鶴島・亀島 (つるじま・かめじま ) |
石組や植栽などによって亀や鶴などを表現して造られた島。鶴は千年、亀は万年と言われることから、長寿を祈願して配置される。 |
龍門瀑 (りゅもんばく ) |
ある鯉が黄河中流の3段の滝を登りきって龍と化す、中国の故事・登竜門を造景した滝の様式。中国南宋よりの帰化僧の蘭渓道隆が創案したといわれている。 龍門瀑は、滝の水が落ちる「水落石」、観音様を表した「観音石」、禅宗の公安を解説した「碧巌録」にちなんだ「碧巌石」「猿石」、鯉を表す「鯉魚石」などが組まれる。 なかでも 「鯉魚石」は、龍門瀑では大切な役割を果たす。 |
4.参考文献
書籍名 |
表紙 |
コメント |
とにかく日本庭園に興味を持ち始めたばかりの人にお勧めの一冊です。 |
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こちらの書では、平安時代から現代まで時代毎に名庭をあげて詳細に解説しています。 |
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有名な写真家水野克比古さんが京都の名庭園を約100庭ほど選んで掲載している写真集です。どのページの写真も大変美しく心が癒されます。自分も何度が京都に旅行していますが、まだ訪れていないところが多く、また京都に行きたくなってしまいます。 |
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古代の発掘庭園から近現代の庭園まで,用語解説と見所を日本庭園史の専門家である小野健吉さんが歴史的な奥行きをもって懇切に解説されています。小型でオールカラー図版仕立ては、庭園めぐりにとても役立ちそうです。 |
5.参考サイト
6.作者の訪庭履歴
最近はなかなか訪庭出来ずにいますが、行ってみたい日本庭園は日本全国に沢山あります。
- 小石川後楽園(2007/3)
- 奈良・依水園(2007/4)
- 目白庭園(2007/5)
- 六義園(2007/6)
- 旧古河庭園(2007/6)
- 称名寺庭園(2007/11)
- 三渓園(2007/11)
- 殿ヶ谷戸庭園(2008/1)
- 甘泉園公園(2008/2)
- 池田山公園(2008/2)
- 光明院・波心庭(2008/3)
- 東福寺(八相庭園)(2008/3)
- 霊雲院(東福寺塔頭)(2008/3)
- 龍安寺・石庭(2008/3)
- 重森三玲庭園美術館(2008/3)
- 京都・二条城(2008/6)
- 浅草寺・伝法院庭園(2008/10)
- 東京国立博物館(2008/11)
- 旧芝離宮恩賜庭園(2009/4)
- 智積院(2009/5)
- 無鄰菴(2009/5)
- 天授庵(2009/5)
- 金地院(2009/5)
- 妙蓮寺(2009/5)
- 東院庭園(2010/3)
- 名勝旧大乗院庭園(2010/3)
- 廬山寺・源氏庭(2010/9)
- 大徳寺・龍源院(2010/9)
- 会津若松・御薬園(2011/4)
- 東寺・観智院(2011/5)
- 大河内山荘(2011/5)
- 弘源寺(2011/5)
- 広島県・縮景園(2011/12)
- 玉泉園(2012/9)
- 武家屋敷跡野村家(2012/9)
7.最後に
最後に、日本庭園の鑑賞方法ですが、 これといった決まりはありません。 別に庭園に関する特別な勉強が必要なわけでもありませんし、庭園をゆっくり見て美しさなどを感じるだけでいいのです。 しかし、座視鑑賞式庭園などは室内から一番景色が良く見えるように作庭されているので、そのポイントで鑑賞するのがよいでしょう。